2026-0514 Google Workspace 共同トレイ設定マニュアル
Google Workspace 共同トレイ設定マニュアル
Google Workspace の「Google グループ」と「共同トレイ」機能を使い、複数人で同じメールアドレス宛の問い合わせを管理するための手順書です。新規ユーザーアカウントを追加せず、既存メンバーをグループに登録することで、1つの公開アドレスをチームで共同運用できます。
この方法は Google Workspace Business Starter 環境でも利用できる構成ですが、管理コンソール側の共有設定や各グループの権限設定が正しく反映されていることが前提です。
参考画像について
画像は、管理コンソールや Google グループ画面での操作位置を補足するためのものです。画面表示は Google Workspace の契約プラン、管理者権限、UI 更新によって変わる場合があります。最終判断は、現在表示されている管理画面の項目名と設定値を確認しながら行ってください。
1. 共同トレイの概要
共同トレイ(Collaborative Inbox)は、Google グループの拡張機能です。1つのメールアドレスに届いた問い合わせを複数メンバーで確認し、担当者の割り当て、対応状況の管理、完了処理を行えます。
共同トレイでできることは、主に次のとおりです。
1. 1つの公開アドレス(例: shop@office-hirose.com)宛のメールを、複数メンバーの受信トレイへ同時に配信する。
2. 会話ごとに担当者を割り当て、対応の重複を防ぐ。
3. 「未対応」「対応中」「完了」などのステータスで進行状況を管理する。
4. 共通アドレスから返信し、お客様には共通窓口から返信されたように見せる。
メリットは、専用のユーザーアカウントを追加せずに、既存メンバーだけで問い合わせ窓口を共同管理できる点です。一方で、Gmail の送信エイリアスから返信した場合、返信内容が共同トレイの会話履歴に残らない点には注意が必要です。
2. システム構成
info@office-hirose.com: Google Workspace 管理者。グループの作成、共有設定、権限設定を行うオーナーです。
tom@office-hirose.com: 一般メンバー。お客様対応を行う担当者です。
shop@office-hirose.com: お客様に公開する共有アドレスです。Google グループとして作成し、共同トレイとして運用します。
お客様が shop@office-hirose.com 宛にメールを送信すると、Google グループ経由で info@office-hirose.com と tom@office-hirose.com の受信トレイに配信されます。共同トレイ画面から返信した場合、返信内容は Google グループの会話履歴に残ります。
Gmail の送信エイリアスから返信した場合、お客様には shop@ から返信されたように見えますが、Google グループ側の履歴には残りません。
3. 初回セットアップ手順
3.1 Google グループを作成する
1. 管理者アカウントで admin.google.com を開く。
2. 左メニューから「ディレクトリ」→「グループ」を開く。
3. 「グループを作成」をクリックする。
4. グループ名、メールアドレス、説明、オーナーを入力する。
5. グループラベルは「メーリング」を選択する。
6. アクセスタイプは「制限付き」のまま次へ進む。
7. 内容を確認し、「グループを作成」をクリックする。
入力例: グループ名は「共同トレイ(shop)」、グループのメールは「shop」、説明は「お客様問い合わせ用」、オーナーは info@office-hirose.com、グループラベルは「メーリング」にします。
3.2 共同トレイモードに切り替える
1. groups.google.com を開く。
2. 左メニューの「マイグループ」から作成したグループを開く。
3. 左メニューの「グループ設定」→「一般」を開く。
4. 「会話履歴」がオフの場合は、先にオンにする。共同トレイでは会話履歴が必要です。
5. 「追加の Google グループの機能を有効にする」を探す。
6. 「共同トレイ」を選択する。
7. 画面下部の「変更を保存」をクリックする。
3.3 メンバーを追加する
1. 左メニューの「メンバー」→「メンバー」を開く。
2. 「メンバーを追加」をクリックする。
3. 追加したいメールアドレスを入力する。
4. メンバーの役割は「メンバー」にする。
5. 登録設定は「各メールを受信する」にする。
6. 「メンバーを追加」をクリックする。
「登録設定」をダイジェストなどにすると、個別メールが通常どおり届かない場合があります。問い合わせ対応用の共同トレイでは、必ず「各メールを受信する」に設定してください。グループ作成者である info@ は自動的にオーナーになりますが、受信もさせたい場合はメンバーとして明示的に追加してください。
3.4 管理コンソール側で外部受信を許可する
お客様など組織外のユーザーから shop@ 宛にメールが届くようにするには、管理コンソール側の共有設定が必要です。
1. admin.google.com を開く。
2. 「アプリ」→「Google Workspace」→「ビジネス向け Google グループ」を開く。
3. 「共有設定」をクリックする。
4. 「グループ オーナーは組織外からのメールの受信を許可できる」をオンにする。
5. 必要に応じて「グループ オーナーは外部メンバーを許可できる」もオンにする。
6. 外部からのメール受信を許可するために必要な項目だけを有効にする。グループや会話の閲覧範囲まで一般公開にしないよう注意する。
7. 「保存」をクリックする。
設定の反映には通常数分かかります。最大で24時間程度かかる場合もあります。
3.5 投稿権限を設定する
外部からの問い合わせを受け付けるには、Google グループ側で投稿できるユーザーを設定します。
1. groups.google.com で対象グループを開く。
2. 「グループ設定」→「一般」を開く。
3. 「投稿できるユーザー」までスクロールする。
4. お客様など外部からの問い合わせを受け付ける場合は、「ウェブ上のすべてのユーザー」を投稿可能にする。社内専用の窓口では、必要な範囲に限定する。
5. 画面下部の「変更を保存」をクリックする。
「ウェブ上のすべてのユーザー」がクリックできない場合は、管理コンソール側の外部受信設定がまだ反映されていない可能性があります。数分待つか、ハードリロード(Cmd + Shift + R)を行ってから再確認してください。外部投稿を許可すると迷惑メールも届きやすくなるため、会話を閲覧できるユーザー、メンバー一覧を表示できるユーザー、投稿のモデレーション要否もあわせて確認してください。
3.6 メタデータとコンテンツ管理権限を設定する
担当者割り当て、ステータス変更、投稿削除などをメンバーが行えるようにします。担当者の割り当てや完了処理にはメタデータ管理権限が関係し、投稿の削除や一部の解決操作にはコンテンツ管理権限が関係します。
1. グループ設定の「投稿ポリシー」を開く。
2. 「コンテンツを管理できるユーザー」をグループメンバー以上にする。
3. 「メタデータを管理できるユーザー」をグループメンバー以上にする。
4. 画面下部の「変更を保存」をクリックする。
この設定が不足していると、「メタデータの管理権限がないユーザーには割り当てできません」というエラーが表示され、担当者割り当てや完了マークができない場合があります。
3.7 「グループとして投稿」権限を設定する
各メンバーが Gmail から shop@ として送信できるようにする場合は、次の権限も設定します。
1. グループ設定の「投稿ポリシー」を開く。
2. 「グループとして投稿できるユーザー」を探す。
3. グループメンバー以上をオンにする。
4. 画面下部の「変更を保存」をクリックする。
3.8 各メンバーの Gmail で送信エイリアスを追加する
各メンバーは、自分の Gmail で shop@ を送信元として使えるように設定します。この設定は、Gmail から shop@ として新規送信・返信したい場合だけ行います。共同トレイ履歴を確実に残す運用では、原則として共同トレイ画面から返信します。
1. メンバー自身の Gmail を開く。
2. 右上の歯車アイコンから「すべての設定を表示」を開く。
3. 「アカウントとインポート」タブを開く。
4. 「他のメール アドレスを追加」をクリックする。
5. 表示名とメールアドレスを入力する。
6. 「エイリアスとして扱います」にチェックを入れる。
7. 「次のステップ」→「確認メールを送信」をクリックする。
8. shop@ 宛に届いた確認メールを開き、確認コードを入力する。確認メールが届かない場合は、投稿できるユーザー、外部受信設定、メンバーの登録設定を確認する。
表示名は「お問い合わせ窓口」など、お客様に表示されても問題のない名前にしてください。
4. 日常運用
お客様が shop@office-hirose.com 宛にメールを送信すると、共同トレイに「未対応」の新規会話として表示されます。同時に、登録済みメンバーの Gmail 受信トレイにも個別配信されます。
担当者を割り当てるには、groups.google.com で対象グループを開き、該当する会話を選択します。画面上部の「担当者を割り当てる」または人型アイコンをクリックし、自分または対応担当者を選択します。ステータスが「対応中」に切り替われば、他のメンバーにも誰が対応しているかが分かります。
返信方法は2つあります。共同トレイ画面から返信する場合、送信元は自動的に shop@ になり、返信内容は共同トレイの会話履歴に残ります。Gmail から送信エイリアスで返信する場合は、From 欄が shop@office-hirose.com になっていることを必ず確認してください。ただし、この方法では共同トレイの履歴、担当者、ステータスと連動しません。BCC に shop@ を入れる運用は補助的な記録にはなりますが、入れ忘れやスレッド不一致が起こるため、正式な対応履歴としては共同トレイ画面からの返信を優先してください。
対応が完了したら、共同トレイ画面で該当の会話を開き、「完了とマーク」をクリックします。ステータスが「完了」に変わり、完了済みスレッドはフィルタで非表示にできます。
5. 重要な注意事項
5.1 Gmail 送信エイリアスからの返信は履歴に残らない
メンバーが Gmail から shop@ として返信しても、共同トレイの会話履歴には返信が表示されません。お客様には正常に shop@ から返信されますが、Google グループ側は返信が行われたことを把握できません。担当者やステータスとも連動しません。
共同トレイ画面から返信する場合、返信は shop@(Google グループ)を経由してお客様に届き、共同トレイの履歴にも記録されます。Gmail 送信エイリアスから返信する場合、お客様には shop@ から返信されたように見えますが、Google グループを経由しないため、共同トレイの履歴には残りません。
5.2 運用ルールの選択肢
案A: Gmail 返信時に BCC で shop@ を必ず入れる。使い慣れた Gmail 画面のまま運用できますが、BCC を入れ忘れると履歴が残らず、担当者やステータスとも連動しません。補助的な記録方法として扱います。
案B: 返信は必ず共同トレイ画面から行う。履歴、担当者、ステータスがすべて自動で連動します。対応漏れや引き継ぎミスを避けたい場合は、この方法を標準ルールとして推奨します。
案C: ハイブリッド運用にする。単純な返信は Gmail(BCC あり)、複雑な案件や引き継ぎが必要なものは共同トレイ画面から返信します。柔軟ですが、ルールが曖昧になりやすいため、どの条件で共同トレイ返信に切り替えるかを運用開始前に明文化してください。
6. 既存アカウントを共同トレイに切り替える手順
本番環境では、共同トレイにしたいアドレスが既存の通常ユーザーアカウントとして使用されている場合があります。Google Workspace には、ユーザーアカウントを直接 Google グループへ変換する機能はありません。そのため、メールデータの退避、既存アカウントのリネーム、削除、同じアドレスでの Google グループ再作成という手順が必要です。
ステップ1: メールデータと関連データを退避する。過去メールが必要な場合は、Google データエクスポート(Takeout)、別アカウントへの移行、mbox 形式でのローカル保存などで事前に退避します。削除対象ユーザーが Drive、カレンダー、連絡先、委任設定、フィルタ、外部サービス連携を使っている場合は、必要なデータ移管と権限変更も先に完了させます。
ステップ2: 既存アカウントをリネームする。管理コンソールで該当ユーザーを開き、メインメールアドレスを別名に変更します。例として customer-support@example.com を customer-support-old@example.com に変更します。
ステップ3: 旧アカウントを削除する。リネーム済みのアカウントを削除し、必要に応じてデータ転送オプションを処理します。削除前に、復元可能期間、データ保持ポリシー、Drive データ移管、メール停止時間、ロールバック方法を確認してください。削除によりライセンスが1つ解放されます。
ステップ4: 同じアドレスで Google グループを再作成する。第3章の手順に従い、元のメールアドレスで Google グループを作成し、共同トレイとして設定します。
削除直後は Google の内部処理により、同じアドレスをすぐ再利用できない場合があります。通常は数分から数時間ですが、作業中は短時間メールを受信できない期間が発生する可能性があります。
本番作業前には、メール退避と関連データ移管を1週間前までに完了させ、問い合わせが少ない時間帯に作業してください。関係者や取引先へ短時間メールが届かない可能性を事前に案内し、切り替え後はすぐにテストメールで動作確認してください。問題が出た場合に備え、旧アカウント名、退避先、作業担当者、戻し方を作業メモに残してください。
7. トラブルシューティング
組織外からのメール受信が許可されていない場合は、グループ設定の「投稿できるユーザー」で「ウェブ上のすべてのユーザー」がグレーアウトします。管理コンソール側で「グループ オーナーは組織外からのメールの受信を許可できる」をオンにしてください。
「メタデータの管理権限がないユーザーには割り当てできません」と表示される場合は、「メタデータを管理できるユーザー」にメンバーが含まれていません。第3.6節の手順で、メタデータ管理権限をグループメンバーまで広げてください。
担当者割り当てやステータス変更ができない場合は、メタデータ管理権限、共同トレイモード、ブラウザキャッシュを確認します。必要に応じてハードリロード(Cmd + Shift + R)を行ってください。
設定変更が反映されない場合は、Google Workspace 側の反映待ちの可能性があります。数分から数十分待って再試行し、必要に応じてブラウザを再起動してください。最大で24時間程度かかる場合もあります。
info@ をメンバーに追加した際に赤い警告マークが出る場合は、グループオーナーがメンバーにも入っていることによる二重配信警告の可能性があります。外部からテストメールを送信し、info@ の受信トレイに届くことを確認してください。
メールが届かない、またはバウンスする場合は、投稿できるユーザー、管理コンソールの外部受信許可、メンバーの登録設定、設定反映待ちの有無を順に確認してください。
8. セットアップ後の動作確認
設定後は、次の項目を順番に確認します。
1. 外部メールアドレスから shop@ 宛にテストメールを送信し、共同トレイに新規会話として表示されることを確認する。
2. info@ と tom@ の Gmail 受信トレイに、個別配信されたメールが届くことを確認する。
3. 共同トレイ画面から返信し、返信内容が Google グループの会話履歴に残ることを確認する。
4. 担当者を割り当て、ステータスが「対応中」になることを確認する。
5. 対応完了後に「完了とマーク」を実行し、完了済みとして扱えることを確認する。
6. Gmail の送信エイリアスを使う場合は、From 欄が shop@ になっていること、共同トレイ履歴には自動反映されないことを確認する。
7. 外部投稿を許可している場合は、会話閲覧権限とメンバー閲覧権限が不要に広がっていないことを確認する。
9. 用語集
共同トレイ: Google グループの拡張機能です。チームで1つのメールアドレス宛の問い合わせを共同管理できます。
グループ: 複数メンバーに同じメールを配信する仕組みです。
オーナー: グループの最上位管理者です。すべての設定変更が可能です。
マネージャー: オーナーに次ぐ権限です。一部の設定を管理できます。
メンバー: グループに参加している人です。投稿や受信ができます。
エイリアス: 別名のメールアドレスです。自分の Gmail から shop@ として送信するような使い方をします。
担当者: 共同トレイで「この案件は自分が対応する」と示した人です。
ステータス: 未対応、対応中、完了など、対応の進行状況を示す表示です。
管理コンソール: admin.google.com で開く Google Workspace 全体の設定画面です。
10. 改訂履歴
2026-05-13: 初版作成
2026-05-16: 本文を添削し、画像タブの内容を参考画像として統合
2026-05-21: 会話履歴、外部公開範囲、権限、エイリアス運用、既存アカウント切り替え、動作確認項目を追記
11. 参考画像
以下の画像は、操作画面の参考画像です。
管理コンソールの設定
ここからは、下記のURLで設定する
ユーザーのGmailを設定する。
以上